1988年のデビュー以来、緻密な描き込みによる高密度で猟奇的な表現を軸に、一貫してエロ・グロ・ナンセンスな作品世界を構築してきた駕籠は、大友克洋や士郎正宗、藤子・F・不二雄、筒井康隆などの影響を受けながら、日本漫画史の裏面あるいは傍流において常に実験的な表現を続けてきました。近年は、90年代サブカルチャーのエッセンスはそのままに、よりポップなイメージへと洗練され、日本のみならずヨーロッパ圏を中心にカルト的な支持を集めています。本展では曼荼羅、千手観音など宗教的なモチーフを日本画の技法を用いて描いた11点の新作を展示。人体欠損や臓物、汚物といった忌避され、穢れとされるものたちを偏執的に繰り返し扱うことで「奇想」のイメージを作り上げてきた駕籠の業が、曼荼羅という様式を通じて現代の地獄絵図として提示されます。細密なタッチの連続から成る煩悩、苦、業のマニエリスム。そして、善悪や道徳を超えた奈落に反響するおぞましいものたちの悟りの“リズム”と“イズム”を、ぜひご堪能ください。
曼荼羅が奏でる地獄のリズムとイズム
Artworks
Installation view
Profile
駕籠真太郎
Artist
1969年東京都生まれ。奇想漫画家。1988年、『COMIC BOX』にてデビュー。エロ、グロテスク、猟奇的、スカトロ、人体破壊や人体改造といったサブカルチャーを扱いながら、不道徳で狂気的なだけに留まらない、アブノーマルかつブラックユーモアに溢れた世界観を描く。現在は国内のみに止まらず、世界各都市にて漫画/アートフェアへの参加や個展の開催を行っている。2013年には、第19回「Salón del Manga de Barcelona」にてスペイン漫画界への貢献を称され受賞。2014年には、フライング・ロータスの『You're Dead!』のアートワークを手がけ話題を集めた。漫画として『輝け!大東亜共栄圏』(太田出版)、『喜劇駅前虐殺』(太田出版)、『フラクション』(コアマガジン)、『登校途中の出会い頭の偶然キスはありうるか?実験』(青林工藝舎)、『乱歩アムネシア 21番目の人格』(コアマガジン)、『PARASITIC CITY』(Hollow Press)、作品集として『死屍累々』(書苑新社)、『Panna cotta』(書苑新社)、『SHINTARO KAGO : ARTBOOKS BOX SET』(The Mansion Press)など著書多数。
Photo|Yutaro Saito
List
- 1
Shintaro Kago
胎児曼荼羅
- 2
Shintaro Kago
無限曼荼羅
- 3
Shintaro Kago
千脚観音菩薩
- 4
Shintaro Kago
開闢観音菩薩
- 5
Shintaro Kago
地蔵菩薩
- 6
Shintaro Kago
混沌曼荼羅
- 7
Shintaro Kago
賽の河原
- 8
Shintaro Kago
五臓曼荼羅
- 9
Shintaro Kago
鱗観音菩薩
- 10
Shintaro Kago
地獄と如来来迎図
- 11
Shintaro Kago
グログロ絵馬