Rintaro Fuse, Heijiro Yagi「砂の本 THE BOOK OF ARENA」at POST-FAKE projects

Rintaro Fuse, Heijiro Yagi「砂の本 THE BOOK OF ARENA」at POST-FAKE projects

2023.09.15

Rintaro Fuse, Heijiro Yagi「砂の本 THE BOOK OF ARENA」at POST-FAKE projects

#CONTEMPORARY ART

2023.09.15

Rintaro Fuse, Heijiro Yagi「砂の本 THE BOOK OF ARENA」at POST-FAKE projects

#CONTEMPORARY ART

人間の生と次元を超えて。詩とグラフィックデザインの共同作業から、次なる世界の造形可能性を探求する。

この度POST-FAKE projetsにてアーティスト・布施琳太郎とデザイナー・八木幣二郎による二人展「砂の本 THE BOOK OF ARENA」を日本橋馬喰町のギャラリー・CON_のキュレーションにより開催いたします。

これまで二人は、布施が企画した展覧会の印刷物を、八木がデザインするかたちで、活動初期から共に表現を行ってきました。しかし共同制作を試みるのは初の機会となります。「現在のアートとデザインは、超人類的な想像力を失ったまま、それぞれの生のリアリティのなかで矮小化してまった」と述べる布施と八木の活動は、そうした閉塞感とは無縁の、自由な引用と発想で、数千・数万年の過去と未来をつなげてきました。

本展のタイトルは、ホルヘ・ルイス・ボルヘスによる小説『砂の本』(1975年)より引用されました。そこには読んでは消え、何度めくっても二度と同じページにはたどり着くことのできない無限のページを持つ本が登場します。本展覧会は、詩や批評をはじめとした言葉を扱うアーティストである布施琳太郎と、さまざまな言葉をデザインして紙面に構成する八木幣二郎のコラボレーションとして構想されました。二人は、言葉が機能する場としての「本」を、アーティストとデザイナーの立場から再考します。

二人は、今回の共同制作において、昨今注目を集める人工知能のための「大規模言語モデル(LLM – Large Language Model)」の学習過程でつくられる「意味空間」に着目しました。意味空間とはコンピュータのための辞書のようなものです。まず無数のテクストがコンピュータに取り込まれます。そして、そこにある無数の単語が自動的に超多次元の意味空間のなかへと位置付けられながら、単語同士の関係をベクトルとして保持することで大規模言語モデルはつくられていきます。二人は、そうした意味空間の多数の次元を削減して三次元空間へと写像(マッピング)することで、人間に知覚できる画像として出力することに興味を持ちました。そして「無数の単語が意味空間へとマッピングされる過程を逆走させたときに何が起きるのか」を考えるようになったと言います。二人は、自作のCGモデルが持つ様々な三次元情報をひとつの意味空間として、8点の平面作品と2000ページの本をつくりました。それらの作品は、ひとつの意味空間の異なる諸相を垣間見せるでしょう。二人が造形しようとするのは、数多の企業や国家が試みる、すべての人々のための汎用人工知能の対極に位置する「砂の本」なのです。

詩とグラフィックデザイン、それぞれの“言葉”でヒューマンスケールを超えた世界を構想する二人が、「砂の本」をつくるという共同作業を通じて、次なる世界の造形可能性を探求します。二人が、本展覧会を通じてどのような表現を行うのか、ご覧いただけますと幸いです。

 

展示概要

布施琳太郎、八木幣二郎 – 砂の本  THE BOOK OF ARENA
会期:2023年9月23日[土]― 2023年10月22日[日]
レセプション:9月23日[土] 18:00–21:00
オープン:木金土日|13:00-20:00
会場:POST-FAKE projects
住所:東京都港区六本木5-2-4 3F ※日比谷線・大江戸線六本木駅 徒歩3分

Curation:CON_ @con_tokyo_
Graphic Design:八木幣二郎/Heijiro Yagi @heijiroyagi
Furniture Design:GYOSHA @gy0_sha
Studio Support:東京建物株式会社 TOKYO IDEA EXCHANGE
Produce:POST-FAKE @post__fake

CON_ @con_tokyo_
maruka 4F, 2-2-14 Nihonbashi Bakurocho, Chuoku, Tokyo
東京都中央区日本橋馬喰町 2-2-14 maruka 4F
オープン:木金土日|14:00-19:00
クローズ:月火水、祝日
Web:CON_
IG:@con_tokyo

〈 アーティストステートメント

言葉の力を信じてきた。書いて、話して、つむいできた。だけど言葉は言葉だけでは存在できない。紙や声、脳や建築が、必要なのだ。
そうであるのなら言葉が生まれる「はじまりの場所」を作りたいと思った。そこにある景色を見てみたいと思った。その場所を《砂の本》と名付けてみる。最も信頼するデザイナーの八木幣二郎と一緒に歩いてみる。
これはかつての人類が通り過ぎたのとは異なる原始の世界をつくるための、いつか人類が通り過ぎるかもしれない未来の果てを複数化させるための、そんな試みだ。(布施琳太郎)

本日はこのような辺境の砂漠にお越しいただき感謝しております。
ただいまよりこの地に闘技場が浮上いたします。
そこで皆さまがお目にかかりますのは、砂粒たちの血湧き肉躍る諸相です。
古来より人類の恐怖は砂によって記憶されてきました。皆さまによって発せられてきた声や文字も例外ではございません。
この文字すらもです。
砂の闘技場にいま恐怖が召喚されるのです。
皆さまも心当たりがございましょう。こぼれ落ちてきたあの砂の一粒一粒があなたの正にその手の中に帰ってくるのです。

線は無数の点から成り、平面は無数の線から成る。体積は無数の平面から成り、超体積は無数の体積から成る……。

——ホルヘ・ルイス・ボルヘス(1899–1986)

それでは「言葉」などは、このへんにして、

ボルヘス退場。

八木幣二郎、砂の本を綴じる。(八木幣二郎)

PROFILE

布施琳太郎

Artist

1994年生まれ。iPhoneの発売以降の都市で可能な「新しい孤独」を、絵画や映像作品、ウェブサイトの制作、批評や詩などの執筆、展覧会企画などをアーティストや詩人、デザイナー、研究者、音楽家、批評家、匿名の人々などと共に実践している。
主な個展に「新しい死体」(PARCO MUSEUM TOKYO、2022)、展覧会企画に「惑星ザムザ」(小高製本工業跡地、2022)、「隔離式濃厚接触室」(ウェブページ、2020年)、参加展示に「時を超えるイヴ・クラインの想像力」(金沢21世紀美術館、2022)など。

IG @rintarofuse
X @rintarofuse

八木幣二郎

Graphic Designer

1999年、東京都生まれ。グラフィックデザインを軸にデザインが本来持っていたはずのグラフィカルな要素を未来から発掘している。 ポスター、 ビジュアルなどのグラフィックデザインをはじめ、CDやブックデザインなども手がけている。
主な個展に、「誤植」(2022年/The 5th Floor[東京・根津])、「Dynamesh」(2022年/T-House New Balance[東京・水天宮前])、参加展示に「power/point」(2022年/アキバタマビ21[東京・末広町])がある。

IG @heijiroyagi

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