Enrico Isamu Oyama「Map Drawings」
at POST-FAKE projects

Enrico Isamu Oyama「Map Drawings」
at POST-FAKE projects

FFIGURATI #446, 2023, Acrylic paint on found image, Artwork © Enrico Isamu Oyama

2023.03.30

Enrico Isamu Oyama「Map Drawings」
at POST-FAKE projects

#CONTEMPORARY ART

2023.03.30

Enrico Isamu Oyama「Map Drawings」
at POST-FAKE projects

#CONTEMPORARY ART

今年4月7日より六本木に新たなスペース・POST-FAKE projectsがオープン。こけら落としに、大山エンリコイサムの個展「Map Drawings」を開催。

現存のアートやカルチャーを再定義し、新たなムーブメントを創造するメディアプロジェクト〈POST-FAKE〉。さまざまなアーティストを多角的な視点から取り上げたドキュメンタリー番組をTOKYO MXにて放送するほか、 YouTubeやInstagram、ウェブマガジンなどでこれまで発信してきました。

そして電波の波をたゆたっていた〈POST-FAKE〉は、このたび六本木にリアルな場であるプロジェクトスペース〈POST-FAKE projects〉を設立し、初回の展示として、美術家・大山エンリコイサムの個展「Map Drawings」を開催いたします。2022年の〈POST-FAKE〉への大山の出演をきっかけに企画された本展では、新たに制作された12点の新作を展示します。エアロゾル・ライティングのヴィジュアルを再解釈した独自のモティーフ「クイックターン・ストラクチャー(QTS)」を、アノニマスなイメージの上に加筆する「ファウンド・オブジェクト」シリーズの最新作です。

古地図にQTSを重ねることで、ニューヨークの地下鉄の記憶を呼び覚まそうとする本作には、大山のコンセプチュアルな姿勢が垣間見えます。地図がもつ平面的な広がりのみでなく、はじめに古地図が作られたとき、見知らぬ誰かの手によって赤や緑の線が引かれたとき、そして大山によってQTSが加えられたときという幾重にも編み込まれた時間に思いを巡らせながら、ぜひご鑑賞ください。

展示概要
Enrico Isamu Oyama / 大山エンリコイサム – Map Drawings
会期:2023年4月7日[金]― 2023年5月21日[日]
オープン:木金土日|13:00-20:00
会場:POST-FAKE projects
住所:東京都港区六本木5-2-4 3F ※日比谷線・大江戸線六本木駅 徒歩3分
出版物:『Map Drawings』展覧会図録 2023年5月刊行予定

主催:POST-FAKE
協力:Takuro Someya Contemporary Art
グラフィックデザイン:小池俊起
会場構成:糟谷健三
広報:Yoshiko Kurata

〈 作家ステートメント
匿名の図像にクイックターン・ストラクチャー(QTS)をかき加える「ファウンド・オブジェクト」シリーズ。その最新作が、本展で紹介する「Map Drawings」である。1970–80年代のニューヨークで発展したエアロゾル・ライティングは、都市を横断する地下鉄をメディアにして、さまざまなエリアに拡散した。
そのため当時のライターの心理には、都市を俯瞰する地図の視点がたえず組み込まれていた。
彼・彼女らが好んで地下鉄の路線図にドローイングしたのは、そうした理由による。

2021年の夏、英国オックスフォードの古道具屋で、私は12枚の古地図を見つけた。
用途ははっきりしないが、新旧の行政区域の境界を示しており、なんらかの公的文書だったと推測できる。
興味を引いたのは、複数の区域が同一平面に並置されていた点である。
それは異なるエリアを走り抜けて結びつける、地下鉄の横断性を想起させた。

「Map Drawings」では、同一平面にある複数の区域の外形を与件とし、その間に置かれたQTSの一部がそれらと接するように描画することで、地図同士が縫い合わされている。QTSの形体と周囲のフレームの接触は、私の作品によく見られる特徴だが、 QTSを媒介に複数の形体がつなぎ留められる状態は、本作に固有の現象である。

「Map Drawings」においてQTSは、走行する地下鉄の車体、または線路のネットワークという、その出自と切り離すことのできないモティーフの姿を、時空を超えて自らのうちに反響している。
「ファウンド・オブジェクト」シリーズのなかでも、本作はとくにコンセプチュアルな意図をもって制作されたと言うことができるだろう。

大山エンリコイサム

PROFILE

Enrico Isamu Oyama

Artist

美術家。ストリートアートのひとつであるエアロゾル・ライティングのヴィジュアルを再解釈したモティーフ「クイックターン・ストラクチャー」を起点にメディアを横断する表現を展開。イタリア人の父と日本人の母のもと、1983年に東京で生まれ、同地に育つ。2007年に慶應義塾大学卒業、2009年に東京藝術大学大学院修了。2011–2012年にアジアン・カルチュラル・カウンシルの招聘でニューヨークに滞在以降、ブルックリンにスタジオを構えて制作。これまでに大和日英基金(ロンドン)、マリアンナ・キストラー・ビーチ美術館(カンザス)、ポーラ美術館(箱根)、中村キース・ヘリング美術館(山梨)、タワー49ギャラリー(ニューヨーク)、神奈川県民ホールギャラリー、慶應義塾ミュージアム・コモンズ(東京)などで個展を開催。『アゲインスト・リテラシー』(LIXIL出版)、『ストリートアートの素顔』(青土社)、『ストリートの美術』(講談社)、『エアロゾルの意味論』(青土社)などの著作を刊行。『美術手帖』2017年6月号を企画・監修したほか、コム デ ギャルソン、シュウ ウエムラ、JINS、アウディとのコラボレーションも手がける。大相撲令和4年1月場所では、横綱照ノ富士の「三つ揃え化粧廻し」にアートワークを提供し、話題となった。2020年には東京にもスタジオを開設し、現在は二都市で制作を行なう。

Web www.enricoisamuoyama.net
IG @enricoisamuoyama

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