2021.11.15

Power of Paper magazine Vol.002

#LIFE STYLE

Photography_Taijun Hiramoto
Edit&Text_Akane Ono (POST-FAKE)

2021.11.15

紙での表現にこだわり続ける
アート/ファッション/カルチャー誌を紹介

いつからだろうか、「雑誌の時代が終わった」なんて言われ始めたのは。確かに紙の雑誌は売れなくなった。でも、そんな厳しい時代にも雑誌に真剣に向き合い、人生をかけて作り続けている人たちがいる。彼らはかたくなに紙での表現にこだわり続ける。垂れ流しではない情報や、ページをめくるときの確かな手触り、そこで新たな出会いの楽しさを知っているから。それはきっと、スマートフォンを片手に画面をスクロールしても得られない。ここではそんな魂の込められた雑誌たちを5タイトルずつ紹介していく。

dawn

2019年11月に東京で産声をあげたストリート・カルチャー・マガジン。編集は二宮慶介氏と高岡謙太郎氏。そしてアート・ディレクションは石黒景太氏が務める。BADSAIKUSHが表紙を飾った創刊号は1500部が即完売した。2020年、新型コロナウィルスの影響で混沌を極める世の中において、カルチャーサイドから発信された記録をパックした『DAWN N°1.5 Survival Issue』には、ミュージシャンからライターまで総勢100人がアンケートに参加した「#STAYHOME100」企画などが収録されている。考え抜いて作られた全196ページからはきっと、これから先を生き抜くためのヒントが見つかるだろう。

Instagram: @dawn_tokyo
Web: dawntokyo.buyshop.jp
Since: 2019 –
Latest issue: #002
Place: Tokyo, Japan
Size: 150mm × 210mm
Weight: 420g

LUNCHEON

今までにこんな美しい「食」を扱った雑誌があっただろうか。世界最高峰のクリエイターたちを起用し、「食」だけでなくそこから派生するアートやカルチャーを高いクオリティで発信している。ゲストへのインタビューは「ランチを取りながら」行い、ゲスト本人だけでなく店や食事に注目するのも楽しい。カルチャー、ファッション、フードがまるでオードブルのように一冊に詰め込まれた、お洒落なパーティーのような一冊だ。編集長のFrances von Hofmannsthalとクリエイティブ・ディレクターのThomas Perssonによって2016年に設立され、イギリスから年2回のペースで発行されている。

Instagram: @luncheonmagazine
Web: www.luncheonmagazine.com
Since: 2016 –
Latest issue: #011
Place: UK
Size: 240mm × 340mm
Weight: 1240g

spectator

今世の中で一番面白いと思うものを知りたいなら、この雑誌を手に取るべきだ。『spectator』は発刊から20年以上にわたって、時代の一歩先を見つめ、その時代時代で面白いと思うことや知るべきことを独自の視点で発信してきた。ここ近年のタイトルを見ても、「パソコンとヒッピー」「土のがっこう」「わび・さび」「つげ義春」「カレー・カルチャー」と、どれも気になるものばかり。内容も「こう切り取るのか!」という驚きの連続だ。提灯記事ばかりの雑誌が溢れてしまっている現代においても、きちんと芯の通った唯一無二の誌面を作り出している。もしかすると『spectator』は雑誌たる雑誌の最後の砦なのかもしれない。

Web: www.spectatorweb.com
Since: 1999 –
Latest issue: #048
Place: Tokyo, Japan
Size: 183mm × 243mm
Weight: 500g

partners

雑誌は作る人の強い想いが込められた作品だと思う。だからこそずっと忘れられない、キラキラと自分の中で輝き続けるページや文章に出会えることがある。初めてこの雑誌を読んだ時そんな気持ちを思い出した。編集者川島拓人氏、そして〈POST-FAKE〉のロゴデザインも手がけていただいたアートディレクター坂脇慶氏による、“関係性”や“絆”をテーマにしたインタビュー雑誌である。2017年に創刊され、現在2号目まで発売中。「今号を終えて思った。愛こそ全てなのかも、と」。 2号目編集後記より。

Instagram: @partners.studio
Web: partners-magazine.com
Since: 2017 –
Latest issue: #002
Place: Tokyo, Japan
Size: 280mm × 220mm
Weight: 780g

i-D

パンクロック時代のロンドンのストリートスタイルに捧げられた、ファッション/カルチャー誌。グラフィックデザイナー、アートディレクター、写真家のTerry Jonesが『Vogue』を去った後、妻であるToricia Jonesと共に立ち上げた。これまでにWolfgang Tillmans, Nick Knight, Juergen Tellerなど、当時の若き才能を発掘。創刊から40年以上たった今でも、ストリートに敬意を払った姿勢は変わることなく、新しいカルチャーを紹介し、雑誌業界を牽引し続けている。ちなみに、ロゴを横にしてみるとウインクしている笑顔に見えることから、表紙のモデルたちはいつもウインクをしている。是非書店に行って、表紙にも注目してみてほしい。^_−☆

Instagram: @i-d
Web: linkin.bio/i_d
Since: 1980 –
Latest issue: #364
Place: London, UK
Size: 230mm × 300mm
Weight: 1200g