2021.10.11
【鼎談】江﨑文武×ermhoi×常田俊太郎 part.1
#ARTIST TALK
2021.10.11
【鼎談】江﨑文武×ermhoi×常田俊太郎 part.1
#ARTIST TALK
〈POST-FAKE〉テーマ音楽が出来るまで
10/12よりTOKYO MXにて放映を開始した〈POST-FAKE〉。その番組の顔となる楽曲を手掛けたのがWONK/millennium paradeのメンバーであり音楽家の江﨑文武氏、そして同じくmillennium paradeのメンバーでシンガーソングライターのermhoi氏だ。今回は2人と親交の深い、〈POST-FAKE〉プロジェクトの立役者、常田俊太郎氏を交えた3人の鼎談企画。出会いや楽曲制作の裏話をはじめ、盛り沢山の内容をpart.1とpart.2の二編でお届けします。
常田俊太郎(以下、常)「そもそもermhoiと文武は何がきっかけで出会ったの?」
江﨑文武(以下、江)「確かDTMP(※millennium paradeの前身)だからmillennium paradeきっかけではあるかな」
ermhoi(以下、e)「2015年くらいに文武が主催していたJAZZ SUMMITでは常田くんもみんないたよね。だけどまだそれぞれ知り合いではなかったみたいな感じ」
江 「うん、僕の友達のバンドもたくさん出てくれてたから。King Gnuの前身のSrv.Vinciとか。で、そこに2人とも来てたって感じだよね」
常 「俺はお客さんとして行ってた。当時の彼女と遊びに行ったの覚えている(笑) 確かその当時も同じトラックにいたとかはあったと思うんだけど、その時はまさか今こうやって一緒にやるとは思ってもなかった」
江 「そうそう、その後も俊太郎さんと音源(トラック)上で一緒になる機会も多くて認識してはいたんだけど。俊太郎さんと初めて顔を合わせて仕事したのは多分『CEREMONY』とかのレコーディングの時じゃないかな。だいたい楽器別に録っちゃうから会うことはないんだけど、その時確か初めてスタジオが重なったんだよね。DTMPもmillennium paradeって形で活動しますってタイミングで、ゆるっとしたメンバーみたいな感じになってもらって」
常 「そうだね、いつもいる人たちみたいな(笑)」
e 「そこからみんな現場一緒になったりとかね」
常 「2人も一緒にやるようになったのは最近?」
e 「DTMP以降かな。東京塩麹とか違うバンドでたまたまサポートで文武が入っていたときに、私が歌で入っていたりとかして」
常 「プレイヤーとして顔見知りって感じだったんだね」
江 「うん、millennium paradeとしての活動が始まってからはじめて一緒に制作するようになったかな」
e 「〈POST-FAKE〉プロジェクトはいつから仕込んでたの?」
常 「去年の冬くらいからかな、アートやカルチャー系のメディアを新しくやるっていうのを文武には伝えていて。その時はあまりフィックスしていなかったから正式なオファーはしてなかったけど、10月から実際に始まると決まって、じゃあ何か作ろうよって声をかけた。僕の中では様々なアーティストやクリエイターを取り上げる、懐の深いプラットフォームにしたい気持ちがあったから、文武が1人で全部作るというよりかは周りにいるミュージシャンとかを巻き込んでいろんな顔を出していきたいねって話をして。そんな中でermhoiにもお願いをした感じ」
江 「最初にオファーが来た時はいよいよ始まるかという感じだったし、時間マジで無いなって(笑)。昨年末からぼんやりとこんなのを企画しているって聞いてはいて、僕もなんとなくの想像は膨らましていたから、いざ動き出すとなったらこうしようっていうは考えてたけど、それにしてもめちゃめちゃタイトだなと(笑)」
常 「ごめんね、霧が晴れたらもう目の前にいたみたいな感じだよね(笑)。オファー受けた後ってどこから楽曲を作り始めた?」
江 「アーティストのドキュメンタリー番組ってのをかなり意識したかな。毎回同じテーマ音楽で番組のカラーを作って包んじゃうよりかは、その人その人に合わせて音楽のトーンを変えていく番組があってもいいんじゃないかと思っていて。だから大きなコンセプトとして、軸にあるものは1つあるんだけど毎回その特集するアーティストによって音楽の毛色を変えていくみたいなことはやりたかった。テーマの音楽を作った後も、それを分解しやすいカタチにして、素材として遊べるようなものにしたいと考えていて。テーマ音楽の中には、激しめのビートも含まれていれば、上品な弦もあればみたいに、バラすと素材としてそれぞれが面白いというものにしようと。〈POST-FAKE〉というプロジェクト名が決まってからは、作詞の部分でそのコンセプトを反映することを意識したかな」
常 「〈POST-FAKE〉ってこっちサイドで勝手につくった言葉なんだけど、2人はどんな印象を受けた?」
e 「それ今日まさに俊太郎くんに聞きたいと思ってた! POST-TRUTHって言葉はあるし、そこから派生したさらに先の未来についてなのか、それとも全く別のルートの言葉なのかなって。今、フェイクという言葉を聞けば例えばフェイクニュースとかが思い浮かぶと思うんだけど、そういう要素を取り込んだのかなと」
常 「フェイクニュースやSNSでの偽りの情報が溢れていて、フェイクが蔓延りやすい世の中でちゃんと本物の人たちや情報を取り上げるというストレートな意味が込められているかな。でもそういったことはあまり説明しなくて良いと思っている。個人的には『嘘から出たまこと』的な、いったい何が偽物で何が本物なのかを煙に巻くようなニュアンスが面白いのかなって。その両方の意味があるかな。でも人によって捉え方とか印象が違うから、それぞれの受け取り方で良いかな」
e 「その『嘘から出たまこと』って言葉すごくしっくりきた。〈POST-FAKE〉がそれぞれのアーティストの生き様に焦点を当てる番組って聞いたから、今回の歌詞は“人”をテーマにもし自分に別の人生があったらどうなるのかなっていうことを軽いノリで書いてみたんだよね。そのテンションと俊太郎くんのいう〈POST-FAKE〉のコンセプトが結構自分の中でマッチしたから嬉しい」
“I imagine a life I could’ve had.
Maybe an architecture
Plan a beautiful life”
常 「文武は実際1回目の髙橋恭司さんと2回目のYabiku Henrique Yudiさんで音楽を監修してみてどうだった?」
江 「そもそも2人とも背負っているオーラが凄すぎるなって。それにそれぞれアーティストの纏っている雰囲気も全然違うから、その人がどういう生活を送っていてどういう人生を歩んでいるのかを短い映像の中から感じとって、それに音をはめていくっていう作業なんだけど、それが結構楽しい(笑)。回を重ねていくごとに様々なアーティストたちが出てくるだろうから、その気持ちは増していくのかもしれない」
常 「でもTV番組は2週間で一人のアーティストを取り上げていく予定だから、これから2週間に1回は必ず新しいアレンジの制作をしなきゃいけないけど大丈夫?(笑)」
江 「今のところは楽しいので大丈夫です(笑)。いつかはアレンジした曲をまとめて、サントラとしてアルバムとか出したりもしたい。ermhoiもアレンジ参加してね」
ermhoi「いいけど、スケジュールがタイトすぎるのはやめて欲しい(笑)」
常 「アルバムだそう! 番組で出演してもらったアーティストにアートワークとかを作ってもらったりもしてもいいかもね。その方がよりプロジェクトの意義が増す気がする」
→ part.2 へ続く